【番外編】「紙を捌(さば)く」ってどんな作業?

【番外編】「紙を捌(さば)く」ってどんな作業?

こんにちは、甲南堂・Web制作の幸田です。
印刷の現場で一人前に働く者にとってはできて当然、はたまた、新聞配達のアルバイト経験者なら「これやったことある!」という方もいらっしゃるかもしれません。今回ご紹介するのは「紙を捌(さば)く」という工程です。弊社でこの道20年のベテランに実際に作業をしてもらい、その勘所など詳しい話を聞いてみました。

印刷機のトラブルで特に多いのが「紙詰まり」です。紙詰まりする原因はいろいろありますが、実は湿度が大きく関わっています。紙を保管している場所の湿度が低いと、静電気が発生しやすくなり、その静電気によって紙と紙が引っ付いてしまうのです。そして、引っ付いたままの紙を印刷機が取り込もうとして、紙詰まりが起こるというわけです。

紙を捌くという工程は、この紙と紙が引っ付いた状態に空気を取り込み、1枚1枚に捌く作業のことで、これによって紙詰まりを軽減することができます。ここからは、実際に作業をしてもらった様子と合わせてみてみましょう。

まず、束になった紙をずらして隙間をつくります。

紙を縦にスライドするようにしてずらす

紙の両端をつかみ、内側に曲げて隙間から空気を取り込みます。つかむところは手前の両端だったり、紙の対角線の端と端だったりと人によって違うそうで、初心者は比較的やりやすい対角線でのつかみ方で作業を覚えていくそうです。紙の厚みによっても作業のしやすさが違うらしく、薄い紙は静電気が起きやすいため引っ付きやすく、紙と紙の隙間をつくるのが難しいのだとか。

つかみ方は人それぞれ、やりやすい方法で

サイズ違いの紙でも基本的にやり方は同じ。まずは空気を取り込みます。

空気を取り込んだら、台の上で紙をトントンとそろえます。きちんと捌けているかどうかは、このときの音でも聞き分けることができるそうです。

紙を捌く作業は、給紙・断裁・折り・製本など印刷のほとんどの工程に関わる重要な作業です。印刷業界においてもデジタル化が著しい昨今ですが、この作業に限ってはアナログの時代から脈々と受け継がれてきた熟練者の手作業でこそ成し得るものだということが見ていて伝わってきました。

聞いたところによると、初心者が紙1枚1枚の間にほどよく空気を取り込めるようになるには、練習に練習を重ねてざっと3年はかかるそうです。慣れた手つきで自然と作業をしているのを見ると、そうは感じさせないところが「さすがベテラン!」という感じでした。

ほかにも、『熟練者は紙の束を軍手越しに触っても枚数を判別できる』という話にも驚かされましたが、初心者がそんなレベルに達するには、手取り足取りやり方を教わるというよりは、先輩職人がしているのを見ながら下手なりに実際に作業をして覚えていくのが一番なのだそうです。まさに「習うより慣れよ」の世界、今回はいろいろと勉強になりました。